岩登り教室を受講して
四十も半ばを過ぎ、ドキドキすることも余りなくなったこの頃、
岩登り教室の実技講習は、いつもワクワクドキドキでした。
実技1の三つ峠では、まずロープ結束の練習。
エイトノット、クローブ・ヒッチ・・・えっとーこれでいいの?? なんだか頭の中までこんがらがりました。
そして、三つ峠右フェイス下部を登ります。
いよいよ自分の番が近づきました。ドキドキドキッ・・・初めてフラットソールを履き、岩に手を掛け足を置きます。こんな小さなスタンスに立つのは初めてだな・・、辺りをよく見て・・、次はどっちに行こう・・、ちょっと辛いな・・と思った瞬間、ずりっと落ちました。一度落ちるとドキドキが止まりました。
下から「ガンバレ、登れるよ!」と声援が届きます。うん頑張るぞ!と思った時なんとかクリアできました。
ムーブなんか全然知らないで、しっかりしたホールドを探してなんとか登りました。
後で先生の華麗なお手本を見せてもらい、溜息が出そうでした。
つぎは、パートナーのビレイです。落としてはいけないと両手・肩・全身に力が入ります。
先生から「ロープを下に向けるだけで止まるんだから、そんなに力を入れなくていいんだよ!」と声が掛かりますが、ついつい力が入り・・・、ビレイってなんて疲れるんだろう!と思いました。
全て初めてのことばかりで、全身筋肉痛、脳ミソまでくたくたになった三つ峠でした。
実技2は、丹沢登山センターで自己脱出、懸垂下降、自己吊り上げ、ボード登攀を練習し、救急法を学びました。
以前、山の先輩からバリエーションルートで進退窮まったら懸垂下降で降りることもあると聞いていたので、この教室の受講目的の一つは、懸垂下降のマスターでした。
懸垂下降は、先生が傍について手順を指示し、チェックしてもらい、自分でも確認して降りて行きます。壁から身を乗り出す時はいつもドキドキしました。地面が遠―くに見え、両手に力が入り、なかなかスムーズに降りれません。きっと顔は引きつっていたことでしょう。何回やっても上手に出来ませんでした。
自己吊り上げは、要領が解るまでは大変苦労しました。重力に逆らう事は大変なことです。みんなのを見ていて、やっぱり若い人は飲み込みが早いなーと思いました。
ここで一番楽しかったのは、夜の宴会でした!美味しい食事を準備してくださった方々に感謝です!
森谷会長さんから、いろいろな経験談を伺ったり、教室のみなさんと楽しく過ごしました。
実技3は小川山。絶対雨だと思っていましたが、ここ一番という時には、薄陽もさすような天気にしてしまう大西パワーには、本当に驚きました。
1日目はスラブ登りの練習。緩い傾斜ですが、実際登っていくと恐くなってくる。靴を信じて、接地面を大きくしてペタペタと登る感じにしたら登れました。フラットソールって凄いと思いました。
教室の皆さんとも段々仲良くなって、実技のグループでは和気藹々と楽しみながら登攀しました。いつの間にか、ビレイでも肩の力が抜け、筋肉痛になりませんでした。
夜はお楽しみのキャンプファイヤー。なぜかフォークダンスが始まったり、山の歌を合唱したり。先生達の意外にシャイな歌声に聴きいったりしました。
2日目は希望して小川山ストーリーとストリートへ。三つ峠と違いのっぺりした感じで距離も長く、どうやって登るんだろうと思いました。佐藤先生の登りを見学。少しでもムーブを覚えようと見ていましたが、途中で付いていけなくなりました。
まずはストリート。実際に張り付いてみると、始めはホールドも豊富で楽でしたが、途中うまく立てずにずりずり・・何度かの挑戦でやっと通過してフーッと息を吐く、終了点近くになると吹く風が心地良かったです。
景色を楽しんでから降りてきなさいと言われていましたが、すっかり忘れていて残念でした。今までになく長い距離を登り、下に着いたら足がブルブルしました。
次はストーリー。こちらの方が難しかったです。佐藤先生の登りを見ていたのに、何処に立つんでしょう?・・、さっぱりダメでした。先生からいろいろ指示が出ますが、なかなかうまく登れず、途中でギブアップしました。上手な人はスムーズに登っていくので、どこが難しいかわからないくらいです。上手になるには、やっぱり数多く練習することでしょうか。
実技4はつづら岩。いよいよ連続登攀の練習です。ここも雨と思われましたが、1日目は晴れ間も見え、やっぱり大西パワーは凄い!と再認識しました。
私たちのグループは森田先生指導の元で、マルチピッチの練習をしました。夫がいつか北岳バットレスを登りたいと言うので、マルチピッチとはどんなものだろうと臨みましたが、途中のテラスで中継する作業に恐怖を感じました。気持ち悪くなりそうで、この先どうなるかと不安を覚えました。A0(?)というのも始めて習いました。「登れませ〜ん」と言うと、「黙ってヌンチャクを掴んで、人に見られる前にサッと登るんだよ」と小声で指示が来ました。いつも楽しい森田先生です。
2日目は残念ながら雨になりました。始めて予定変更し、林道脇擁壁で懸垂下降の練習をすることになりました。
よく滑る壁はとても恐かったです。やっぱり懸垂下降は苦手で、すぐに足が曲がってしまいました。
実技5は三つ峠で連続登攀の実践。天気は最高!1日目は右フェイス下部と中部を登りました。
リーダーピッチはW+でしたが、快適に登れました。少しずつ慣れてきたのでしょうか。
クーロワールはX級、ガイドブックの通り、出口が難しかったです。もちろん途中A0やっちゃいました。
2日目は中央カンテを登りました。メンバーは伊藤先生に、三上さん、隆さん、私の4人。年齢では粒ぞろいの中年グループ。二日間行動を共にするうちに、それぞれの性格が分かってきて、面白かったです。
先 生「難しいルートを登る時に大切なことはなんだと思います?」
私たち「気合いだと思います」
先 生「そう気合いです」
みんな「気合いだ!気合いだ!気合いだ!」
途中のテラスでの会話がとても楽しかったです。みなさんお世話になりました!
登りではムーブがほんの少し分かる様になり、こうした方がかっこいいかな・・・と思えるところもありました。
登りは殆ど順調にできましたが、問題は懸垂下降でした。第三バンドから鶴ルートあたりを降りることになりました。三上さんと隆さんは嬉しそうにしていましたが、私は出来ればパスしたいくらいでした。先生が先に降りて、いよいよ私の番です。久々にドキドキドキ・・・、手順を間違いなく、下の手を放さなければ大丈夫、信じる者は救われる、落ち着け落ち着け・・・と念じつつ降りました。なんとか無事に降りましたが、なかなか慣れません。
実技6は湯河原の幕岩。いよいよ最後の講習になりました。トップロープの安全セットと安全確保確認。今までも常に言われ続けていた安全の確認。ひとつしかない命を落とさない様、肝に銘じて、岩登りを楽しみたいと思います。
てんとう虫ロックのペニーレイン?ほとんどホールドのないスラブは、大西先生にいろいろと教えてもらいましたが、登れなくて残念でした。「気持ちを足の親指に集中する!」「集中したら体重を少しずつ移動して立つ」・・
ほんの少しだけ分かった様な・・・いつかまた挑戦してみたいです。
長いと思っていた岩のぼり教室でしたが、終わってみるとアッと言う間に感じます。
無我夢中で受講してきましたが、回を重ねるうちによく順序立てて計画されていると感心しました。
いつも安全第一に、そして必要なことは確実に教えて頂きました。全てを吸収したいと思ってきましたが、なかなか奥が深く難しいと思います。やっとスタートラインに立てたのでしょうか。
いつも熱心にご指導下さいました先生方、ワクワクドキドキの講習をご一緒してくださいました教室の皆さま、大変お世話になりました!ありがとうございました! またいつかどこかでご一緒したいものです。